卵巣癌は早期診断がかなり困難
子宮癌検査、卵巣癌検査をかねる骨盤MRI検査
卵巣癌は40歳代から増加、50歳から60歳代に罹患率のピークを迎える悪性腫瘍です。初期の卵巣癌はほとんど症状がありません。ここにお示しする症例のように、倦怠感を感じるというだけで、すでに腹膜播種、肝転移が起こっている事が多いのです。腹部のしこりを感じるとか、膀胱が圧迫されて尿が近くなると言うような症状が出たときは、さらに進行しています。
卵巣癌の早期発見のために血液腫瘍マーカー検査や経腟超音波検査などによる検診が試みられましたが、検診の有用性は示されていません。さほどに、卵巣癌の早期診断は困難です。年1回の定期的検査としてMRI検査を行えば卵巣癌の早期診断への道が開けるかもしれません。子宮癌の定期検査としてMRI検査を行っても、卵巣が見えますので、MRI検査は有用です。
一方、卵巣腫瘍の85%は良性腫瘍です。下腹部辺りの違和感など自覚症状を感じても成熟嚢胞性奇形種、卵巣嚢腫や子宮内膜嚢胞など良性病変である可能性が高くMRI検査でこれらの疾患の区別がつきますので、ご安心いただけます。
<卵巣癌の発生要因>
- 卵巣癌の遺伝的関与は5-10% 近親者の卵巣癌/BRCA1,BRCA2遺伝子の変異
- 出産歴のないこと
- 多のう胞性卵巣症候群
- 子宮内膜症
- 肥満、食事、排卵誘発剤使用
- 10年以上にわたるホルモン補充療法
- 経口避妊薬の使用は卵巣癌のリスクを低下させる
などの事が現在分かっています。